人間の体には感覚というものがあります。
それにより外界の物を感知し、自分にとっての善悪を判断しながら生きています。
体が感じる主な5つの感覚。
- 視覚…目で物を見る感覚。
- 聴覚…耳で音を感受して聞き分ける感覚。
- 嗅覚…鼻で「におい」を感じとる感覚
- 味覚…舌で物の味(甘味.酸味.塩味.苦味.旨味)を感じとる感覚。
- 触覚…体が物に触れた時に起こる感覚。
その中で嗅覚は視覚や聴覚に比べると、その働きが何となく地味に思われがちですが、人生を左右する大きな節目には、とても重要な役割を果たしてくれています。
嗅覚はニオイを感知し、それが自分にとって必要か不必要かを瞬時に判断します。
ニオイから危険を察知したり、体調の変化に気付くこともあります。
特に女性は無意識のうちに、ニオイで結婚相手を決めていると言われます。
人にとってニオイは、どれだけの影響力をもっているのでしょうか。
危険を感じる、嫌な臭い
私たち人間に、目に見えない危険を教えてくれるのは、視覚以外の感覚です。
なかでも嗅覚は、私たちに異常を逸早く教えてくれます。
嗅覚は大脳に直結しているので一番原始的な感覚です。
なのでダイレクトに人の本能を刺激します。
音でも危険を察知することは出来ますが、やはり異様な臭い、嫌な臭いはインパクトが強いです。
例えばですが、都市ガスにはニオイはありません。
無臭です。
なのでガス漏れなどの危険に素早く気付けるよう、ガスにはあえて嫌な臭いをつけています。
あの腐った玉ねぎのような臭いは、何とも不快です。
また土砂崩れの前にも、物が腐った生臭いニオイや、土臭い異様なニオイがするようです。
嗅覚の危険察知は、私たちの食事でも多いに役立っています。
冷蔵庫に入れ忘れていた食材や、作り置きしていたおかずなど。
夏場は特に見た目には異常が無いからと言って、食べるのは危険です。
そんな時、私たちはニオイで判断します。
少しでも嫌な臭いや感じがしたら、食べません。
このように人は、異様だと感じる臭いに対して、本能的に危険だと感じるようになっているのです。
欲求を刺激する、良い香り
匂いは、私たちの生理的欲求を上げてくれます。
街を歩いていて通りすがりのお店から、美味しそうな匂いがプ~ンとしてきたら食欲が湧いてきます。
どんなに美味しい料理でも、鼻が詰まってその匂いが感じ取れないと、味が分からなくなってしまいます。
そうなると、食事の楽しみも半減してしまいます。
また、目が冴えて眠れない夜にアロマの香りが、心を落ち着かせてくれることもあります。
良い香りには、石鹸やシャンプー、お花や果物と、種類はたくさんありますが、自分好みの匂いは人それぞれです。
そして自分好みの匂いがする人には、何となく好意をもってしまいます。
人の体臭は、あまり良い感じを受けないものですが、体臭がいい匂いと感じることがあります。
恋人や好きな人など、性的魅力を感じている人の体臭に好感をもつことはないですか。
それは、相手のフェロモンの匂いを感じ取っているのです。
特に女性は男性と比べると子孫を残す機会が少なく、より複雑で強い遺伝子を残そうとします。
なので自分と似た遺伝子より、自分と違う遺伝子をもつ者を求める傾向にあるのです。
思春期の娘さんが父親を臭く感じて嫌がるのも、この本能からかもしれません。
同じ遺伝子を持つ血縁者に対しては、異性として魅かれないように、嗅ぎ分けているのですね。
体臭がいい匂いと感じる相手は、遺伝子の相性が良いのかもしれません。
記憶がよみがえる、懐かしい匂い
大脳に直結している嗅覚は、記憶や感情を処理する海馬という部位に繋がります。
なので頭では記憶がなくても、嗅覚が覚えているということがあるのです。
何かの匂いに触れた時、何とも言えない懐かしい気分になったことがあるかと思います。
それは、覚えている匂いと情景とが一つになって、呼び起こされるからです。
学校からの帰り道、寄り道していた駄菓子屋さん。
夏の田舎で過ごした、今は亡き祖父母の家。
初めて実家を離れ、一人住んだ街。
その時々の匂いにふと触れると、視覚での記憶とはまた違う胸がキュンとするような、何とも切なくノスタルジックな気分になります。
鼻がきく人
少ない情報からも、警察犬のような鋭い嗅覚で探り当てる。
そんな隠された部分までも敏感に察知する人のことをよく、
「あの人は嗅覚が鋭い」
「鼻がきく人」
といいますが、いわゆる勘が鋭い人のことです。
勘が鋭いことは気遣いの出来る行動へと繋がり、人生のなかでも有利に働くことでしょう。
けれど、あまりに鼻が利きすぎても相手は見透かされているようで、窮屈になってしまうかもしれません。
たまには知らないふりをするのも愛情の一つですよね(^^)
嗅覚はインスピレーションでもあります。
自分にとって大切なこと、必要なものは本当は自分が一番よく知っています。
嗅覚を研ぎ澄まし、自分の「感」と「勘」を信じましょう。